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PDR(パーティクル デポレーション レート)とは

PDRって何?

PDR(パーティクル・デポジション・レート)とは、1㎡の面積に1時間でどのくらいの数の粒子が堆積するかを数値化した指標です。
これは、「PDR=個数÷8(面積x時間)」によって計算することができます。

PDRには、時間という概念が含まれています。
それによって、実際にその空間で作業をした際に製品にどのぐらいの異物やゴミが付着するのかという点のリスク管理がしやすくなります。

PDRは、2021年に新しく制定されたクリーンルームの規格ISO147644-17の登場によって注目されました。
このISO147644-17指標では、表面の清浄度を、モノの表面にどのぐらいの異物やゴミが付着するかをSCPクラスと呼ばれる数値で示すという特徴があります。
しかし表面の清浄度だけでは、粒子汚染のリスク管理においては十分ではありません。
そこで、このISO147644-17の中に時間という概念を組み込みPDRが作られました。

PDRでは、PDRL(パーティクル・デポジション・レート・レベル)が用いられます。
これは一言で言えば空中からどのぐらいの異物やごみが落ちてくるかを数値化したもので、5μm~500μmの範囲で表示されます。
異物やゴミ粒子の大きさはPDRと比例関係にあるため、PDRLにも返還することができます。

PDRを使ったリスク計算はどのようにする?

PDRは、作業中に空中の異物やゴミが落ちてくることによって製品が不良となってしまうリスクを数値として評価する際に使われる指標です。
このISO規格では、10μm以上の粗大粒子は、50%以上が表面に堆積し、40μmを超えると90%以上が表面に滞積するという考えに基づいています。
そして終端速度に基づいて計算すると、2mの高さから10μmのゴミが床に落下するまでにかかる時間は11分ですが、粒子が大きな100μmとなると、かかる時間はわずか8秒ということが分かります。

このPDRを使うことによって、リスク計算ができる他、リスクを低減するための対策方法も講じることができます。
最もリスクが高いエリアを把握しながら、製品不良となる最小粒子のサイズが分かれば入室制限や動作規制をかけることができますし、作業手順や行動規制をかけることも可能です。
また作業銅線や物流を最適化することによって、リスクを低減することもできるでしょう。

またPDRは、粒子の気中濃度とも関係があります。
一般的には、作業手順を改善してもPDRが下がらない際にはクリーンルームのアップデートが必要となります。
その際にも必要な気中濃度をPDRを使って計算することで、どのぐらいのISOクラスが必要かが分かります。