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不織布(ふしょくふ)

不織布とは?どんな特徴がある?

不織布とは、織ったり編んだりという製造方法ではない別の方法で作った布のことです。
具体的にどんな製造方法なのかは、その不織布によって異なります。
接着樹脂を使って化学的に結合させたものや、圧力をかけた上で水流でからませたり、熱によって融着する性質を持つ繊維を使ったもの、そして機械的に絡ませたものなどがあります。

編んだり織ったりした布は、繊維の方向は縦や横に規律性が見られます。
しかし不織布では、そうした規律性はありません。
すべてが同じ方向を向いていたり、ランダムな向きになっているなど、製造方法によって多種多様です。

不織布の原料には、綿や羊毛、麻や絹など天然繊維が使われることもあれば、レーヨンやナイロン、ポリエステルなど化学繊維が使われることもあります。
化学繊維の場合には繊維が持つ性質が不織布として製造された後にも引き継がれることが多く、耐熱性や耐久性、耐薬性が高いものもあります。

例えば不織布が原料になることが多い紙おむつは、PPと呼ばれるポリプロピレンというカバーストック材が適しています。
また、研磨剤や衣類の芯材には、ナイロン製の不織布が多く使われています。
耐久性と耐熱性のあるアラミド繊維などを使った産業用の絶縁材やフィルタ材なども普及しています。

不織布の歴史

不織布は、1920年代にドイツのフェルト業者によって作られたのが起源と言われています。
当時はフェルトの代用品として毛くずや紡毛などを接着剤で固めたものが使われていましたが、戦後の産業発展によって品質は大きく向上しました。

日本においては、1954年にアメリカから乾式の不織布製造装置を導入したことをきっかけに各社で生産がスタートしました。
1960年あたりには、東レや大日本インキ化学工業、カールフロイデンベルグなど繊維大手3社が合併し日本バイリーンという不織布企業を発足した経歴もあります。

不織布はどんな用途に使われる?

不織布には、様々な用途があります。
製造方法によっては繊維の毛羽立ちを最小限に抑えることができるため産業用ワイプとして使われることが多いですし、ランダムな向きで繊維を結合できるためμm単位の微粒子もしっかりブロックしたい使い捨てマスクの素材としても多く用いられています。

その他にも、おむつや生理用ナプキン、掃除用のワイパー、病院で使用する帽子や手術着にも不織布が使われています。
一般的に不織布が使われる製品は、使い捨てタイプが多いという特徴があります。
原料によっては編物や織物と比較して耐久性がイマイチというケースはあるものの、近年では耐久性に優れた化学繊維を原料とする不織布製品も多く、不織布だから耐久性がイマイチとは言えません。