製薬工場

製薬工場への設置

次にクリーンルームの設置が行われる場所として紹介するのは「製薬工場」です。
私達の健康を支える薬を作成する製薬工場において、不純物が混ざることは人体に対する悪影響を及ぼす要素の1つになりかねません。
その為、製薬工場に於いては「GMP」という概念が存在しています。
GMPというのは、Good Manufacturing Practiceの略称で、要するに「良品質工場としての基準要件」ということを意味しています。

では、主に製薬工場で行われているGMPバリデーションとしてはどのようなものがあるでしょうか。
具体的な例を1つ上げて、その中でクリーンルームがどのような位置づけになっているのかについて考えます。

製薬工場においては、「空調処理」によるクリーンルームを実現するのが1つの方法となります。
そのためには、まず最初に「基本設計」の段階からはじめなければなりません。
基本設計の段階においては、それぞれの工場における判定基準を確認し、それを元にして空調上必要なシステム(空調機や送風機、フィルターなど)の設計を行います。
さらに、自動制御を行うための機器や、状況を計測するための機器の設計なども合わせて行う必要があります。

これらの計画が承認されると、次に据付が行われることになります。
それぞれのパーツについての検査を行い、キャリブレーションを経て実装に向けた準備を進めることになるわけです。
その際、計測機器ではトレーサビリティという検査を行い、問題なく動作をしていることを確認することになります。

試運転から実装まで

これらの検査が終わると、次に試運転が行われます。
それぞれのパーツを組み合わせて空調設備の試運転を行い、総風力や電流値など、必要となる数値を計測します。
その上で問題がある部分があれば修正を行い、総合的なクリーンルームとしての制度をか高めていくことになります。
工程確認段階においては管理項目に基づいた調整を行い、調整後に試運転を行い、その結果を受けて調整を行う、ということを何度か繰り返して効果が最も高い状態を目指します。

これらの工程が終わり、完成したと判断されると商業運転を初めることができるようになります。
厚生労働省などの査察を受け、基準を満たしていると判断されたものが製薬工場などのクリーンルームとして利用されることになります。

2004年、2006年頃に設定されたバリデーションの基準値が存在しており、クリーンルームはこれをベースにして作られています。
例えば2004年に設定されたEU-GMPでは層流域内に於いては作業時、非作業時ともに0.5マイクロメートル以下のものなら1平方メートルに3500個、5マイクロメートルを超えるものなら1個までが認められます。