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クリーンルームの代表的な空調方式

オールフレッシュ式のクリーンルームの特徴

一口にクリーンルームと言っても、それぞれに空調方式や換気方式が異なります。
代表的な換気方式としてはオールフレッシュ式というものがあります。
これは新鮮な空気をすべて取り入れた後に、温度や湿度を調整し洗浄してから室内に送り込むという方式です。
もともと室内に循環していた汚染されている空気は、そのまま外に排気することになります。
そのため、室内の空気を洗浄したり空調したりすることはなく、完全に空気が入れ替わるのが特徴です。

室内の空気の汚染度が高い環境や、常に高い洗浄レベルを維持していなければならない現場で使われることが多いのがオールフレッシュ式です。
具体的には病院の手術室はフレッシュな空気を必要とするため、オールフレッシュ式が採用されるケースが多いです。
また、温度や湿度の管理がしやすいので、室内環境を一定に保ちやすいというメリットもあります。

他の特徴としては、内部で化学薬品や有機溶剤を使っている現場で使用される傾向があります。
空調機器の特性上、装置を劣化させる化学物質を使っていると、汚染された空気を再利用する方式だと機器が破損する恐れがあります。
しかし、オールフレッシュ方式だと汚染された空気を排出するだけなので問題なく利用できるのです。
また、換気の効率が良いので人の出入りが多いとか、ドアの開閉が多いシーンであっても清浄度を保ちやすく復元性が良いというのもメリットです。

一方で、機器の導入費用が高くなります。
また、より多くのエネルギーを消費するためランニングコストが上がる傾向も見られます。
そのため、経済性に劣ることからより重要度の高いクリーンルームにのみ採用されることが多いです。

循環式の空調について

循環式は、一定程度外部のフレッシュな空気を取り入れることはありますが、内部の空気を使って室内環境を維持する方式です。
内部の空気を一度取り入れ、それを清浄化させ、温度と湿度の調整をした上で再び室内に戻すことになります。
オールフレッシュ方式ではすべて外部の空気でしたが、循環式では内部の空気を使うという点で違いがあります。

この循環式は経済性に優れるのが大きなメリットです。
装置導入コストが安く付きますし、外部の空気の取入れや室内空気の全排出をしないため、ランニングコストも下がる傾向にあります。
また、室内で製造作業によって粉塵が発生しないのであれば、それほどエアフィルターの交換をする必要がなく、メンテナンスが楽になるというのメリットです。

一方で、室内の空気をいわば再利用するという構造上、室内で有機溶剤などの化学薬品を使用する環境では利用できません。
また、ドアの開閉が多いところでは、復元性があまり良くなく清浄度を保ちづらいケースも見られます。