クリーンルームは、製造や研究の場で高い清浄度を維持するために作られた特別な空間です。
その中でも重要な考え方のひとつが「ゾーニング」です。
ゾーニングとは、クリーンルームを複数のエリアに分け、それぞれの清浄度や役割を明確にすることを指します。

なぜゾーニングが必要なのか、またどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

ゾーニングの考え方

ゾーニングは、エリアごとに異なる清浄度を設定する仕組みです。
クリーンルーム全体を同じレベルで管理することは理想的に思えますが、現実にはコストや運用面で非効率になってしまいます。
そこで、作業内容やリスクに応じて「ゾーン」を区切り、それぞれに適した清浄度を維持します。
例えば以下のように分けられることがあります。

一般ゾーン:作業者が着替えたり、準備を行うエリア。清浄度は比較的低め。
中間ゾーン:資材や製品の一時保管、簡易な作業を行うエリア。
高清浄ゾーン:実際の製造や研究を行い、最も清浄度が求められるエリア。

このように段階的にゾーンを設定することで、クリーンルームに入るごとに異物を取り除き、最終的に高い清浄度を確保することができます。

また、ゾーニングは動線管理にも直結しています。
作業者や物の移動ルートを制御し、清浄度の高いエリアに異物を持ち込まないように設計されているのです。

ゾーニングのメリット

ゾーニングを行うことで得られるメリットは多岐にわたります。

1. 清浄度の維持が効率的になる
すべてのエリアを最高クラスの清浄度で管理すると、空調やフィルターに膨大なコストがかかります。
ゾーニングによって必要な部分だけを高清浄にすれば、効率よく品質を守ることができます。

2. 汚染リスクの最小化
エリアごとに清浄度を分けることで、万が一汚染が発生しても高清浄ゾーンにまで広がるリスクを低減できます。
段階的なバリアがあることで、トラブルの影響範囲を限定できるのです。

3. 作業効率の向上
ゾーニングによって動線が整理されると、作業者は「どこで何をすべきか」が明確になります。
結果として迷いや無駄な移動が減り、効率的に作業が進められます。

4. 教育や管理がしやすい
「このラインから先は高清浄ゾーン」といった区切りがあると、作業ルールを徹底しやすくなります。
新人教育や外部業者の入室管理も、ゾーンを基準に説明できるため分かりやすくなります。

5. コスト削減につながる
空調設備やフィルターの運用コストは、清浄度が高いほど大きくなります。
ゾーニングを行えば必要な部分だけ強化できるため、全体のランニングコストを抑えることが可能です。

このように、ゾーニングは「品質を守りながら効率を高める」ために不可欠な考え方といえます。

クリーンルームにおけるゾーニングとは、エリアを分けて清浄度を段階的に管理する仕組みです。
これにより、清浄度を維持しやすくなり、汚染リスクを防ぎ、作業効率やコスト面でもメリットが得られます。

クリーンルームの運用に携わる人にとって、ゾーニングを理解することは欠かせません。
「なぜ区切りがあるのか」を知ることで、日々の作業ルールにも納得感を持って取り組むことができるでしょう。