クリーンルームは、高度に管理された清浄環境を維持することが求められる場所です。
そのため、日常的な清掃にも一般環境とは異なるルールが存在します。単なる「きれいに見える」状態では不十分で、目に見えない微粒子や微生物まで考慮して清掃を行わなければなりません。

ここでは、クリーンルームにおける清掃の基本的な考え方と、専用の清掃ツールが使われる理由について解説します。

クリーンルーム清掃の基本ルール

クリーンルームの清掃は、通常のオフィスや工場と比べて細かいルールが設けられています。代表的なポイントは以下の通りです。

まず、上から下へ、奥から手前へという順序が基本です。これは、清掃中に舞い上がった粒子や落ちたゴミが、再び清掃した部分を汚さないようにするためです。天井や高所のフィルター清掃から始め、壁面、作業台、床へと段階的に進めるのが一般的です。

次に、清掃頻度の設定が重要です。たとえばクラス100(ISO 5相当)以上の高い清浄度を求められる現場では、床や作業台を毎日清掃することが当たり前です。逆に低いクラスのエリアでも、最低限の頻度を守らなければ、異物が蓄積してクリーン度が保てなくなります。

また、清掃者の装備もルールの一部です。清掃を行う人も通常の作業者と同様に、クリーンスーツ、マスク、手袋を着用し、髪の毛や皮膚由来の異物を持ち込まないようにします。清掃は環境を守るための作業である以上、清掃そのものが汚染源になってはいけないのです。

専用清掃ツールが必要な理由

クリーンルームでは、家庭用やオフィス用の清掃道具をそのまま使うことはできません。理由は大きく二つあります。

一つ目は、発じんの防止です。一般的な掃除機やモップは、摩擦によって微粒子や糸くずを発生させます。これでは「掃除をしているのに、かえって汚染を広げる」ことになりかねません。そのため、クリーンルームではHEPAフィルター付きの掃除機や、発じんの少ない特殊素材のモップが用いられます。

二つ目は、洗浄・滅菌が可能であることです。クリーンルーム用モップやワイパーは、アルコールや純水で洗浄できる素材が採用されています。使い捨てタイプも多く、使用後にそのまま廃棄することで異物の再利用リスクを防げます。一般のモップのように繰り返し使うと、内部にホコリや微生物が蓄積し、かえって汚染源になる可能性が高いのです。

さらに、清掃の際には専用の清掃記録を残すこともルール化されているケースがあります。「誰が、いつ、どの範囲を清掃したのか」を記録することで、異物混入などのトラブル発生時に原因追及がしやすくなります。品質保証の観点からも、清掃ルールとツール管理は一体で考えられているのです。

このように、クリーンルームにおける清掃は「日常的な掃除」というより「製造工程の一部」といえるほど厳格です。専用モップや掃除機を使い、順序や手順を徹底することが、クリーン度維持の鍵となっています。